自殺希少地域その4
「病」は市にだせ
岡檀さんの自殺希少地域の現地調査による自殺予防因子その4は「病、市に出せ」である。
これは、ある自殺希少地域の先達がいい習わしていたという格言である。
まちのある人によれば、「病」とは、たんなる病気のみならず、家庭内のトラブルや事業の不振、生きていく上でのあらゆる問題を意味している。そして「市」というのはマーケット、公開の場を指す。体調がおかしいと思ったらとにかく早目に開示せよ、そうすれば、この薬が効くだの、あの医者が良いだのと、周囲がなにかしら対処法を教えてくれる。まずはそのような意味合いだという。
同時にこの言葉には、やせ我慢すること、虚勢を張ることへの戒めがこめられている。悩みやトラブルを隠して耐えるよりも、思いきってさらけ出せば、妙案を授けてくれる者がいるかもしれないし、援助の手が差し伸べられるかもしれない。だから、取り返しのつかない事態にいたる前に周囲に相談せよ、という教えだということである。
生きづらさを感じている人は、自分の個人的な悩みを誰かに相談することについては強い抵抗を感じているように感じる。
自殺希少地域のある町でさ個個人が私的な悩みを開示しやすい環境づくりを心がけてきたけいせきが見られる。
助けていえる、とても大切な事だとあらためて感じる。