自殺希少地域その3
どうせ自分なんて、と考えない
岡檀さんの自殺希少地域の現地調査による自殺予防因子その3は「どうせ自分なんて、と考えない」である。
あなたは、「自分のような者に政府を動かす力はない」と思いますか。との問いに対して自殺希少地域では「そのような力はない」と感じている人の比率は26.3%であったのに対し、自殺多発地域であるA町では51.2%と2倍近くになる。
自殺希少地域では、主体的に政治に参画する人が多いという印象があり、自分たちが暮らす世界を自分たちの手によって良くしようという、基本姿勢があるように感じられるとのことである。その分、行政に対する注文も多く、ただしいわゆる「お上頼み」とは、一線を画している。もっといえば、この町の人たちはお上を畏れの対象として見たことがないのではないか、という気さえするとのことである。
自殺希少地域は「自己効力感」を持つ人が多く、どうせ自分なんてと考える人が少ないということである。
自殺多少地域のある高齢者は、働けなくなり、介助を受け、バスで送迎してもらって入浴したりすることに罪悪感を感じ、本当はデイサービスに週2回に行きたいが1回にしているという。それはお金を出してもらっている息子に申し訳ないと遠慮しているのだという。自殺希少地域の高齢者からは、そのようなニュアンスの言葉を聞いたことがなく、デイケアに行きのも大威張りだということである。
子どもの時に自己効力感を身に付けないと、年をとっても社会に役に立つとか、人の評価を基準に生きていくことになる。今まで一所懸命に大切な人達に愛を与え続けてきたであろうに、自分がそれを受取ろうとせずに、逆に与える事ができなくなった自分に罪悪感を感じる。とても虚しい気持ちになります。