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BLOGあしあとのかなたに

私は、なにもの?

2024.04.14

すぐそこに依存症の入口はある

前回に引き続き「弱さを愛せる社会へ」野澤和弘著の印象に残った箇所を紹介したい。

依存症は、薬物による人体への生理的影響というだけでなく、社会との関係性のなかで生じる自己肯定感の喪失(空白)と深い関係がある。「逃れられない孤独感」という人もいる。もともと人は育ちのなかで家族から見返りを求めない愛情を注がれ、自分の存在を無条件に肯定できる土台を築いていく。家族をはじめとする人間関係の希薄化、ネットによるコミュニケーションの変容のなかで、自己肯定感が形成されない「空白」が現代人の内部にさまざまな形で広がっているように思える。
~中略~
格差が広がる社会においてはかなり恵まれた層にいる学生たちだが、その内側にも「空白」はある。紛争や飢えとは無縁で、平穏な豊かさがあまりにも当たり前にあることが、生きている実感を薄れさせているのかもしれない。表面的には恵まれた家庭に見えるが、その内実は希薄な関係性で成り立っていることがある。自分の存在は何なのかわからず、家族にも学校に対しても帰属意識が乏しい。そんな学生が多いように思う。「私は、なにもの?」。
どこか寄る辺なさを抱いている学生たちが自分のなかの「空白」に向かって問いかける。

日常の隣に破滅が潜んでいる。いつ自分が知らないうちに引きずり込まれるかわからない。そのぐらい、すぐ底に依存症の入り口はある。その位、全ての人が心に空白がある可能性があるということである。恐ろしいことである。