「時間」とは何か　エンデの「モモ」を読んで（その３）

時間がない、ひまがない

私は時間がない、ひまがない、と言う言葉を毎日、言ったり聞いたりしています。この言葉を聞くときは、相手は大人ばかりではありません。子どもからも聞きます。これほど足りなくなった時間とは、いったいなんなのでしょうか？寸暇を惜しんで時間を使い、それで何を得ることができるでしょうか？それは、人間の心のうちの時間、人間が人間らしく生きることを可能にする時間、そういう時間を失ってまで得る価値のあるものに時間を使っているのでしょうか？価値のあるものといったい何なのでしょうか？時間に追われすぎて手段が目的化して、本来の目的、価値は時間に追われた先には無いような気がします。それを立ち止まって考える余裕さえなくしてしまっているのかもしれません。モモは過去の話のようであり、今の話でもあり、未来の話でもあります。先進国の都市ではどこでも当たり前のようになっている世界のような気がします。

心ゆたかになるゆっくり流れる時間

よい暮らしのためになると時間を倹約し追い立てられるように倹約した時間で仕事をし、せかせか生きています。子どもたちも将来のためになることを優先され、今ここの遊びを奪われています。これでいつ立ち止まって人生の幸福を誰かと味わうことができるのでしょうか？老いて動けなくなってから気づいても時間はかえってきません。
道草して自然や生きとし生きるものの命を感じる時間、身近な人の話をゆっくり聞く時間、を大切にする必要を感じます。自分なりの時間のバランスを日々、考えながら今ここを過ごしていきたいと思います。