「時間」とは何か エンデの「モモ」を読んで(その1)
時間と生き辛さ
エンデの「モモ」を読みました。現代を生きる我々の時間の概念が生き辛さをつくり、そして「タイパ」という言葉がでてくるようにまますます生き辛い方向に向かっているように感じます。
モモを読んで、考えさせる文を3回に分けて紹介していきます。
時間をケチケチすることで失っているもの
「時間をケチケチすることで、ほんとうはぜんぜんべつのなにかをケチケチしているということには、だれひとり気がついていないようでした。じぶんたちの生活が日ごとにまずしくなり、日ごとに画一的になり、日ごとに冷たくなっていることを、だれひとりみとめようとしませんでした。
でもそれをはっきり感じはじめていたのは、子どもたちでした。というのは、子どもにかまってくれる時間のあるおとなが、もうひとりもいなくなってしまったからです。
けれど時間とは、生きるということ、そのものです。そして人のいのちは心を住みかとしているのです。
人間が時間を節約すればするほど、生活はやせほそっていくのです。」
私も会社員時代、家族や友達との時間を削り、食事も流し込み、自然にも振れず目的地に急ぎ足で迎い、仕事するために時間を費やしてきました。結果、会社からは評価されましたが、満たされぬ思いで仕事帰りに一人でお酒を飲む事がよくありました。その結果得たものより、失った大切な時間の方が多い事にある時、気づきました。
まさに人が時間を節約するばするほど、心はやせほそっていくと感じます。
人のいのちの住みかは心です。もっともっと自分の脳から来る欲でなく、心に時間をかけるべきだと今は感じます。