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自殺対策強化月間で思う事

2023.03.19

自殺対策強化月間とは

自殺対策基本法では、例年、月別自殺者数の最も多い3月を「自殺対策強化月間」と定め、地方公共団体、関係団体等とも連携して「誰も自殺に追い込まれることのない社会」の実現に向け、相談活動及び啓発事業を実施しています。

誰も自殺に追い込まれることのない社会とは

私は自死遺族です。なぜ人は自殺するのか?それは私の人生においての大きな問いになります。理論的にも自殺する心理を知りたくてロサンゼルス自殺予防センターの共同創立者で米国自殺学会会長のE.S.シュナイドマン氏の自殺者のこころを心にひっかかる事があった時に読み返しています。
耐えがたい苦しみからの絶望的脱出策である自殺。自殺を防ぐ鍵は自殺の真の原因である精神的苦痛に目を向け、それを軽くすることにあると記されています。
幸福とは我々は単に苦難がなく、肉体的安楽(おいし食べ物、うまい酒、高価な衣装)のあることだと考えてきました。自殺の関連でいうならば、本当の幸福とは、そこに何か特別な雰囲気を持つものです。逆にいうならば、不幸とは望みのかなわなかった不幸な子ども時代を反映しているのです。幼児期はことに、現実的な大人の世界のルールやしきたりにとらわれずに、自己の心のなかで、また自己と周囲の大人の関係において、こうあってほしいという願いを自由に持つことができる時期です。心のなかで秘密の契約が取り交わされ賞味されます。このような幻想は魔術的な性格、特別な幸福感、この上ない至福感、子供だけが体験しうる本質的に平和で尽きることのない豊かさを持っています。子供にとって幸福とはこうしたものです。
もし、こうした幸福の基準に達しない子供時代があるならば、それがいかなるものであれ、心に痛みが生じるのです。そして、こうした幸福がひとたび失われると、またはその存在を垣間見ながら経験することないならば、その心に何ものをもってしてもいやしがたい深い傷を残します。
E.S.シュナイドマン氏は基本的に、自殺をもたらすような精神的痛みは、成人してからの心の調和と幸福の欠如より貴重な子ども時代の特別な喜びを失った事によることのほうが多いと考えたいとのべています。
この精神的苦痛は今の日本では、どこの家庭でも起こりえると思います。
周囲の大人が社会のルールや自分達の肉体的安楽に幸福があると思う価値観でなく、子供の言葉をきちんと聞いて否定せずに受け入れることだと思います。今以上に仕事して子供に今以上の肉体的幸福を与えようとするのでなく、もっと子供の心の声に向き合う、子供と同じ視線で笑い合える時間をもっとつくってほしいと思います。社会で次の世代を担う子供達を支援していくのです。親や先生だけの問題ではありません。親や先生だけの責任ではありません。社会の責任です。個人主義になってしまい、どこの親も先生も日々に余裕がありません。何かあって親や先生を非難するのでなく、今の社会、コミュニティのあり方に視点を向けるべきだと私は思います。
社会で地域で子供達を育てる。そのために今、自分ができることから始めていきたいと思います。
自殺は特別なことではありません。私のすぐそばにいる子供も今の社会であれば精神的苦痛を感じて生き辛さを感じている可能性はあります。高価なおもちゃがなくても心許せる人と時間を共有できる時間と場所があえば、子供達は遊び、無邪気に笑い合う創造力と協調性を持っています。まず大人が子供の話を最後まで傾聴していけば、そこから縁は変わっていくと感じます。
笑顔と笑顔で縁がつながる社会に向けて一歩を踏み出していきます。