過密社会になると人間関係が希薄になる。
豊さと過密の弊害
佐々木正美著の「子どもへのまなざし」を読んでいると興味深い、人の特性に対する文化人類学者の指摘がありましたので、紹介させていただきます。
人間には、過密社会に住めば住むほど、人間関係を稀薄にしていく、よそよそしていくという特性があるのだそうです。
豊かさと過密というのは、その人のもっているいい点よりは、いやな点のほうに、私たちの感受性を徐々にするどくしてしまうそうです。そうすると、私たちはなにかいやなことがあると、人のせいにしたくなるし、できることなら周囲の人との深いつきあいや、交際などをさけてとおりたくなるし、そのうえ、まわりの人がいやな人にみえてくるという傾向を徐々に強めていくとのことです。
この短所のほうばかりが気になるというか、そちらが目についてしまうという感性が、徐々に私たちの気持ちの多くの部分をしめてきているのです。
学校内の暴力であるとか、社会の暴力であるとか、夫婦間の殺傷事件、兄弟間の殺傷事件も増えてきています。
ようするに、相手のいやな点のほうが気になるし、なにかがあると相手のせいにしたくなるし、怒りっぽくなったし、ゴーイング・マイ・ウェーで生きていたくなる、というような点が強まってきたというのです。
会話をつうじて人とくつろぐ
確かに、日本は豊かで自由で平等で、そして平和な国になりました。しかし、私たちの日常の生活はどうでしょう。人間にとっていちばんたいせつな、人といっしょにくつろぐ、やすらげるということが少なくなったと思いませんか。その結果、大人や若者だけでなく、子どもたちが人を信頼して、ゆったりとした気持ちで育っていく環境が失われていると思うのです。そのことの重要さを、もういちど考えていく必要があると思うです。みなさん、いかがでしょうか。
この本を読んでみて便利になってえたもの、失ったもの、次世代に紡いでいくために、整理する必要がると私は感じました。