トラウマティックボンディング
被害者と加害者のねじれた関係
今回も村中直人著「叱る依存が止まらない」から印象に残った箇所を紹介します。
神話的な被害者にも非があるという固定観念がある人は是非、トラウマティックボンディングを知ってもらいたいです。
トラウマティックボンディングは、絶対的な権力者から罰を伴う支配を受け続けることで、被害者の自己評価が下がり自責の念が生まれるところから始まると考えられています。「おまえが悪いのだ」というメッセージとともに暴力や暴言を与えられ続けると、そのメッセージがその人に刷り込まれてしまうです。その結果、加害者への精神的な依存が発生し、どうしたらとうのか、「正解」を持っている加害者の意向を常に気にするようになってしまいます。
こうしたねじれた関係は、ネガティブ感情だけでなく、ポシティブ感情のコミュニケーションが同時にあることで、さらに深刻化してしまうことも指摘されています。加害者が時おり見せる愛情表現や気づかいが、被害者にとっての「報酬」になってしまうのです。予想していなかった報酬は予想された報酬に比べて強く報酬系回路を刺激し、より多くのドーパミンを放出する傾向があります。こうして、加害者と被害者のあいだに、驚くほど強い感情的な結びつきが生まれるのです。
被害者が加害者を頼っているように見える時に、冷静にこのような視点からとらえる必要があると感じました